
生成AIの進化が止まらない今、広報担当者にも変化への適応力が求められています。今回は「役割の拡張」に着目し、今まさに広報担当者が直面している変化と、新たに担うべき役割について具体的に深掘りしています。生成AIは、もはや一部の先進企業だけの話ではなく、日常のニュース接触や社内業務にも浸透。AIの進化に伴い、広報もまたその“読み手”や“届け方”を根本から見直す必要が出てきています。
※本記事は2025年6月上旬に開催したウェビナーの内容を再編集したものです。内容は開催当時の情報になります。また、弊社独自の見解が含まれるため、他社と見解が分かれる可能性があります。
登壇者

野中 透(のなか とおる)
プラップノード株式会社 Customer Development部 ディレクター
オリンパス株式会社、デジタルエージェンシーを経て、2018年プラップジャパン入社。デジタル広告やSNS運用、ソーシャルリスニング、アクセス解析など広報領域におけるデジタル施策全般のディレクションを担当。 これまでに食品メーカー、製薬企業など幅広い業界のデジタル施策を手掛ける。 2022年よりPRオートメーションの顧客開発部門責任者として、デジタル領域を中心とした施策立案、実行に携わる。

桃井 克典(もものい かつのり)
プラップノード株式会社 コンテンツマネージャー
2013年プラップジャパン入社。PRコンサルタントとして、BtoC・BtoB問わず様々な企業・自治体の広報業務に従事。リリース配信、メディアアプローチにとどまらず、イベント、SNS、動画、Webサイトなど様々な手法を通じた戦略立案・実行を担当。2020年よりPRオートメーションのマーケティング担当として、Webサイト、ウェビナー等で広報活動効率化のヒントを発信している。
メディア環境の変化と“機械学習広報”の台頭
まず注目すべきは、AIの進化により記者やメディア側の情報収集手段が大きく変わりつつある点です。

Googleの「NotebookLM」など、文書をAIで読み込ませて検索・要約する動きが進む中、メディアはリリースを自動でデ-ターベース化し、キーワードで“呼び出す”スタイルへと移行しています。
この変化により、広報には「検索されやすい情報設計」が強く求められるようになります。AIに理解されやすいリリースの構成・タイトル・テキストファイルでの情報提供が、記事化の分岐点となる可能性があるのです。
ここで新たに必要となるのが“機械学習広報”という視点です。従来の表現力や関係構築に加え、「AIに理解されやすい情報構造」を整備するスキルが、今後の広報に欠かせない要素となります。
フェイク情報との攻防と“フェイクキーパー”の可能性
同時に、フェイクニュースや偽装画像の拡散リスクも拡大しています。特定企業を狙った偽サイトや、AIが生成した“ありそうなネガティブニュース”が、現実の企業イメージを大きく損なう危険性が高まっています。
広報としては、炎上“後”に対応するのではなく、“起こりうる前提”で備える姿勢が必要です。公式サイトやSNSでのリアルタイム情報発信、フェイク検知スピードの強化、そして画像の「学習防止処理」など、技術的なガードも業務の一環となりつつあります。
このような変化に対応するためには、“フェイクキーパー”という新たな役割が生まれるかもしれません。企業の情報信頼性を担保する、いわば“情報の守護者”としての広報機能が拡張してくると考えられます。
生成AIから“引用される”ための広報設計(LLMOの観点がより重要に)
そして、生成AIは、ニュースをただ「読み取る」(=内容を学習・解析する)存在から、どの情報を「選び取り、引用するか」を判断する存在へと進化しています。これは、広報戦略にとって大きな転換点です。実際、弊社の調査では、メディアにおける生成AI経由のアクセスが着実に増加しており、今後も大幅な伸びが予測されています。まさに「生成AIがニュースを選ぶ時代」が到来しつつあります。
そんな中、生成AIによる情報流通が進む中で、広報として意識すべきは「AIに選ばれる設計」です。LLMO(Large Language Model Optimization)を前提に、生成AIに引用されやすい情報をどう設計するかが、今後のPRの新たな鍵になります。
ニュースとして取り上げられることに加え、生成AIに情報源として選ばれる可能性を高めるためには、一次情報として独自のデータや調査結果を盛り込むこと、信頼性のある専門家コメントを加えること、そして権威あるメディアでの掲載実績を確保することが、より重要となるでしょう。
こうした情報設計を意識することで、生成AIからの引用可能性が高まり、検索流入や認知獲得の新たな起点となることが期待できます。
生成AI時代において、広報は“伝える”だけでなく、“選ばれる”情報を発信する意識がより求められる可能性があります。
これからの広報活動では、AIにも届く情報設計を意識することが、新たな成果につながっていくはずです。
実践Tips:AI活用の“使いどころ”を見極める視点
生成AIを広報業務に取り入れる際は、「どこに使えるか」を見極めることが重要です。
使いづらい業務:
正確性が必要/日本特有の文化理解がいる/参考情報が少ない/人がやった方が早い
使いやすい業務:
正解がない/文化理解が不要or学習済み/情報が豊富/人が面倒に感じる作業
まとめ
今回のウェビナーでは、生成AIの進化によって“求められる広報の役割”が大きく広がっていることが明らかになりました。
明日から活かせる視点としては、「AIが読みやすい情報とは何か?」「AIに引用されるにはどうしたらいいか?」という発想を広報業務に取り入れることです。
私たちは、AIと敵対するのではなく、“AIを読み手と捉えた広報戦略”で、新たな信頼構築に挑んでいきます。
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