広報コラム

【広報・PR】メディアリストとは?作成の4ステップと運用のコツを大公開

【広報・PR】メディアリストとは?作成の4ステップと運用のコツを大公開

広報活動を行う上で重要な業務となるメディアへのアプローチ。その指針ともなるのがメディアリストです。しかしこれまでメディアリレーションに注力していなかった部署の場合「そもそもメディアリストがない」「作ったものの、リストの管理ができていない」といったお悩みを抱える方も多いよう。そこで今回は、ゼロからどのようにしてメディアリストを作っていけばいいか、そして、そのメディアリストをどのように運用すればよいかをあわせて解説します。

そもそもメディアリストとは?

メディアリストとは、自社のプレスリリースを送付するメディアの連絡先を一覧化したリストのことを指します。内容は一般的に、
・社名
・媒体名
・住所
・担当者の氏名・所属部署・役職・連絡先(電話番号・メールアドレス)

などを記載します。

またこれらに加え、メディアと連絡を取る際の注意事項(月末は忙しいので電話連絡は避ける、正午は取り合ってもらいやすい、など)を明記しておくことで、広報部内での資産共有に役立ちます。このようにメディアリストは、広報にとっては資産そのものなのです。

メディアリストを作成するさまざまなメリット

メディアリストを作成する一番のメリットは、プレスリリース配信時にメディアへアプローチできること。リリースを読んだメディアにリリースを記事化してもらうことが狙いです。

メディアリスト活用のタイミング

しかしメディアリストの作成のメリットはそれだけではありません。メディアリストを作成・運用する中で、広報担当者は否が応でもメディアとコンタクトを取る必要性が出てきます。そのやり取りの中で、広報とメディアのリレーションが築かれていくのです。メディアとの信頼関係がうまく築けていれば、記事掲載につながりやすくなるのはもちろん、担当者が異動した際にもスムーズに新しい担当者に引き継いでもらえるなどの利点があります。

メディアリスト作成の4ステップ

では続いて、実際にどのようにメディアリストを作成していくか、次の4つのステップで解説します。

  1. 自社の商品を振り返る
  2. メディアを調査、リストアップする
  3. 記者の連絡先を収集する
  4. 情報をデータベース化する

ステップ1:自社の商品を振り返る

リストを作る前に、まずやるべきことは自社のPRする素材が何かを考えることです。自社商品やリリース内容の傾向に合わせ、的を絞ったメディア選定をすることで、発信される情報に興味を持ってもらえる可能性は高まります。
逆に自社やリリース内容と関係の薄いメディアに対して無差別にリリースを流すことは、迷惑と捉えられかねないため注意が必要です。リリース内容との親和性を確認しつつ、戦略的なメディア選定をすることがメディアリスト作成における重要なポイントと言えます。
まずは、自社の商材や発信できる情報を整理することから始めましょう。

ステップ2:メディアを調査、リストアップする

ステップ1で整理した情報をもとに、アプローチするメディアを調査、選定し、リストアップします。
参考になるのは「PR手帳」や「マスコミ電話帳」です。それ以外にも、Webで検索をかけて調べたり、Yahoo!ニュースの提供社一覧やプレスリリース配信サービスの媒体リストなどを参考にしたりするのも有効です。直接コンタクトを取る、といった地道な作業が必要な時もあるでしょう。

業界紙や地方紙にも注目
忘れてはならないのは各業界の専門紙や地方紙の存在です。全国紙では取り上げられない企業情報も、業界紙や地方紙ならば取り上げられる可能性があります。さらに地方のデジタルメディアがYahoo!ニュースに転載され多くの人の目に留まる機会は多く、業界内での認知拡大・個別取材につながるケースもあります。

ステップ1で自社情報の素材について精査が済んでいれば、情報発信内容に合った的確なメディアが選定できます。こういった作業の一つひとつが対象メディアの絞り込みとなり、またメディアとの信頼関係構築の足掛かりにもなるはずです。後々の広報戦略にも役に立つことでしょう。

ステップ3:記者の連絡先を収集する

メディア選定が終わったら、次は個々の記者の連絡先を収集します。メールアドレスはもちろん、電話番号や担当部署なども可能な限り集めておくことが望ましいでしょう。
連絡先の入手方法としては、以下のような選択肢があります。

  • 紙媒体やwebサイトのお問い合わせ欄を活用する
  • 記者向けのイベントや記者クラブを活用し、直接名刺を交換する
  • 日頃の取材対応で知り合った記者に紹介してもらう
  • データベースサービスを利用してリサーチする

ただし、個人情報の扱いには十分な注意が必要です。目的外の使用は控え、社内でルールを設けて適切に管理することが大切です。

ステップ4:情報をデータベース化する

このようにして集めたメディアや記者の情報量がさほど多くない場合には、エクセルやGoogleスプレッドシートで管理することも十分可能でしょう。メディアの属性やジャンルごとにシートを分けると使いやすくなります。
一方、情報量が多い場合は、ツールの導入も検討しましょう。メディアの基本情報に加えて、過去の取材履歴やリリース送付状況などを一元管理することができます。

以上の4ステップを経て、自社のメディアリストの基礎が完成します。ただし、メディアリストは一度作って終わりではありません。最新の状態を保つための継続的なメンテナンスが求められるのです。

作るより難しい!メディアリスト運用のコツ

メディアリストは作るのも大変ですが、運用するのはもっと大変です。ほとんどの場合、修正(記者の異動、退職など)がいつ発生するのか広報側からは予測できません。情報をキャッチアップできたとしても、リスト修正を漏らしてしまっていた、なんてことも起こり得ます。
とはいえメディアリストはアプローチのために絶対に必要となるもの。必要なものだけれど、リストをきちんと整備したところで業務自体は評価につながらない。けれど不備があった際のリスクは大きい…このような葛藤に苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。

ここからは、当社が考える、広報担当者が少しでもメディアリストを楽に運用できるポイントを解説します。

理想のメディアリストと、運用の課題とは?

メディアリストは、主にプレスリリース配信とメディアアプリーチの際に使われるものです。となると、下図のようなメディアリストがあれば理想的ではないでしょうか。

理想のメディアリストとは

しかし、実際の運用では様々な課題が立ちはだかります。例えば、当社で寄せられるご相談では下記のようなものがよく聞かれます。

  • 代々受け継がれてきた古い情報を整理できない
  • 複数人で編集するため、情報の管理が難しい
  • どの記者に送るべきか判断に迷う
  • メディアの最新情報を反映できていない

こうした課題を解決するために、
①修正パターンを整理して把握する
②負担が少ないよう仕組み化・自動化する
この二つを徹底することが重要です。上記の4つの課題を例に、解決案を提案します。

代々受け継がれてきた古い情報を整理できない問題

A:記者の反応を見える化し、リストを最適化する

メディアリストを最新の状態に保つには、定期的なメンテナンスが欠かせません。しかし、闇雲に連絡先をアップデートするのではなく、記者の反応を見極めながら進めることが重要です。

当社では、プレスリリースの開封状況を指標の一つにする方法をおすすめしています。例えば、10回連続で開封されなかった記者については、配信停止リストに移動するなどのルールを設けるのです。こうしたメンテナンス基準を設けることで、リストの最適化を進めることができます。開封状況を把握するには、配信ツールの機能を活用します。

代々受け継がれてきた古い情報を整理できない問題
A:記者の反応を見える化し、リストを最適化する

さらにエクセルやGoogleスプレッドシートと連携させ、関数を使ってリリースごとに未読の多い記者をあぶり出し、関心度合いを推し量ることも可能です。
それ以外にも、電話をして在籍状況を確認するのも確実な方法です。手間がかかるので、上記の方法と並行して行うのがおすすめです。

複数人で編集するため、情報の一元管理が難しい問題

A:持続可能なメディアリスト運用ルールを作る

複数人が都度修正する環境だと、フォルダの中に下記のようなファイルが溜まっていくことが起こり得ます。

複数人で編集するため、情報の一元管理が難しい問題
A:持続可能なメディアリスト運用ルールを作る
▲どれが最新で、どれが生きているファイルなのか見極めが困難

メディアリストの更新を滞りなく行うには、チーム内でルールを設けることが大切です。
ファイルは1つに集約し、バージョン管理を徹底しましょう。エクセルやスプレッドシートで管理するなら共有フォルダ/ドライブでマスタを一つ作成して、それを運用します。

さらに記者やメディアの修正情報は、情報をキャッチアップしたタイミングでやると煩雑になります。なので「3ヶ月に1回、全員一斉にこのタイミングでやる!」など、スケジュールを組んで実施するようにしましょう。こうしたルールを設けることで、メンバー全員が同じ認識のもと、効率的にメディアリストを更新していくことができます。

さらにもう一歩踏み込んで、修正作業の役割分担として「この対応は○○さんが行う」と決めてしまうのも効果的です。

広報部の取材修正は役割分担を明確にするのがおすすめ

もし「そもそも手入力で情報更新している時間自体ない…」という場合は、入力自体を自動化してしまいましょう。たとえば問い合わせがあった際、メールではなく取材フォームに必要項目を入力してもらうよう、受付の手順を変えてしまいます。このようにメディアリストと取材フォームとを連携させれば、手打ちの手間が大幅に削減できます。

問い合わせは取材フォームに入力することで業務を大幅削減

どの記者に送るべきか判断に迷う問題

A:記者の優先度に合わせて、配信先を最適化する

メディアリストの規模が大きくなると、送付先の選定に頭を悩ませるケースが出てきます。しかし前述した通り、闇雲にリリースを送るのは記者の心証から見てもNGです。メディアや記者の属性に合わせて、配信先に優先順位を付けることが肝要です。

対策として、タグ付けして管理するのがおすすめです。「新商品」「イベント」「SDGs」など、発信情報の種類を網羅したタグを準備し、記者やメディアに紐づけます。こうしておけば、リリース発信時はタグを絞り、適宜追加や削除を考えるだけで最適なリストが完成します。

またこの時、「この媒体には絶対載りたい」という重要媒体もわかるようにシートを作成しておくと便利です。

アプローチが必要な重要媒体を設定

加えて、社内での情報共有もメディアリスト内で行えるとさらにベターです。アポイントの状況や取材対応の履歴、記事化に至った経緯や、掲載見送りの理由なども共有ファイルに書き残しておくと、以降の広報活動に役立てることができます。

メディアの最新情報を反映できていない問題

A:専門Webサイトで情報を集める

日々変化するメディアの連絡先をアップデートする方法をご紹介します。

まず、テレビ局の新番組や放送時間の変更などは「キー局番組編成変遷表」などのサイトで確認できます。雑誌の休刊情報は「Fujisan.co.jp」で、創刊の動向は「雑誌コード管理台帳Web」でそれぞれ確認できます。
webメディアは3000以上の数に上るとも言われており、すべて定点観測することは困難です。当社でおすすめしているのは、Yahoo!ニュースの提供社一覧を定期的にチェックし、新旧の差分をチェックするという方法です。「Wayback Machine」というサイトを利用すれば、過去時点のサイト情報が参照できます。

こうしたサイトを定期的にチェックすることを習慣づけることが、メディアリストの鮮度を保つ秘訣と言えるでしょう。

「整理」と「ルール化」で広報活動を最大化へ

メディアリストの作成・運用は一朝一夕ではいかない上に地道な作業ですが、情報の精度を高め、PRの効果を最大化するためには欠かせないプロセスです。リリース配信の最適化はもちろん、日頃のメディア対応力を上げることにもつながります。ルールを設けて継続的に改善を重ねることが、広報活動の質を高めることにつながります。

リソースが足りない場合は、メディアリストを持つプレスリリース配信サービスの活用も有効です。配信サービスは幅広いメディアのデータを保有していることもあり、手間をかけずにメディアリストが作成できます。自社独自のメディアリストと、ツールのリストをかけ合わせるなど工夫ができると効率的な運用につながります。

当社の『PRオートメーション』は、メディアリスト管理から配信、クリッピング、レポートまで一元管理できるPR専用のオールインワンツールです。メディアリスト作成や運用にお困りの際はぜひご相談ください。

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