広報コラム

生成AIを活用した広報競合分析の可能性と課題【セミナーレポート】

生成AIを活用した競合分析の可能性と課題【セミナーレポート】

当社では、多忙で情報収集に手が回らない広報担当者に向けて、定期的に生成AIの最新トレンドをセミナーにて解説しています。今回は「競合分析におけるAI活用」という観点から調査・発表を行いました。今回の当社の調査では、課題と同時に広報業務において生成AI活用が期待できる点も明らかになりました。この記事ではセミナーの一部をレポートします。

登壇者

野中 透(のなか とおる)
プラップノード株式会社 マーケティングマネージャー 

PRオートメーションのマーケティングを担当。精密機器メーカー、デジタルエージェンシーを経て、2018年プラップジャパン入社。デジタル広告運用、SNS運用、ソーシャルリスニング、アクセス解析など広報領域におけるデジタル施策全般のディレクションを担当。 これまでに食品メーカー、飲料メーカー、外資系IT企業、大手デベロッパー、製薬企業など幅広い業界のデジタル施策を手掛ける。 2022年より、PRオートメーションのマーケティング担当として、デジタル領域を中心とした施策立案、実行に携わる。

桃井 克典(もものい かつのり)
プラップノード株式会社 コンテンツマネージャー 

2013年プラップジャパン入社。PRコンサルタントとして、BtoC・BtoB問わず様々な企業・自治体の広報業務に従事。リリース配信、メディアアプローチにとどまらず、イベント、SNS、動画、Webサイトなど様々な手法を通じた戦略立案・実行を担当。2020年よりPRオートメーションのマーケティング担当として、Webサイト、ウェビナー等で広報活動効率化のヒントを発信している。

【PRオートメーション】 PR成果の見える化と業務効率化

競合分析を行う2つのメリット

過去のセミナーやコラムでもご紹介していますが、広報が競合分析を行うメリットとして、以下の2点がメリットとして挙げられます。

1. 業界の動向や競合他社の戦略を把握でき、自社の広報戦略の参考にできる
2. 他社との露出量比較から、適切な目標設定やチーム内外への説明に役立てられる

一方で、競合各社のための記事収集・分析は手間がかかるのが課題。そこでAIの活用に着目し、有用性を検証してみました。

記事収集の自動化にはまだ課題あり

競合分析にしろ業界分析にしろ、分析を行うためにはデータが必要です。前半は、生成AIを用いた記事データ収集の実験結果を報告しました。

検証には、MicrosoftのCopilot、GoogleのGemini、Perplexity、AnthropicのClaude3といった無料で利用できる生成AIサービスを利用。指定した企業の関連記事をAIに検索・収集させました。

                ▲実験で使用したプロンプト
  • 取得メディアの質
  • リンクの正確性
  • 期間の正確性
  • 考察の妥当性

評価軸は上記の観点から精度を比較しました。
たとえば取得メディアの質は、多くの広報がマストで押さえるべき主要メディアの記事情報を中心に収集できていたら〇とし、ノイズが多く含まれていたら△、ノイズばかりであったり存在しないメディアを記載した場合は✕とするなど、三段階で評価を行いました。
結果は下記の通りです。

※プラップノード(株)調べ プロンプトや扱う内容によって結果が異なる点ご了承ください。

現状のAIでは網羅性と正確性に課題があることが判明する結果となりました。記事収集における無料AIツールの実用性は低く、Googleアラートなどを使った記事収集の方が有用というのが当社の現状での見解です。Claude3はブラウジング機能がないこともありすべて✕となりました。
しかし、プロンプトの改良や生成AI自体の進化に伴い、今後改善していく可能性は大いにあり得ます。

分析業務でのAI活用は有望

後半では、自社の情報発信の際に効果的な競合分析の手法を、AIを用いて実施できないか検証実験を行いました。情報発信の際に他社事例を参考にするのはPRの現場でよく用いられる手法ですが、それをAIがどこまで対応できるのかという実験です。

プロンプトはこちらです。情報発信しなければならない状況で、「このままだと掲載がとれないな」と感じている自分の状況も盛り込んだ内容になっています。

結果はこのようになりました。

記事収集と分析は、前半パートに比べて網羅性の必要がないため成功しやすい傾向にあります。一方、AIによる企画提案は再現性の乏しい内容となりましたが、AIに要約と考察を任せることで、短時間で企画立案の示唆を得られるメリットはあるという結果になりました。

現状の活用法

このように、要約や分析といった活用法は生成AIの得意とするところで、無料ツールであっても十分業務で利用できることが明らかになりました。セミナーでは、競合分析活用例を紹介しました。

①Googleアラートで記事を収集し、スプレッドシートに自動転記

②メディア名、タイトル名、URLを一覧化し、掲載要因、切り口、販促案などを生成AIで分析

リリースの切り口を「販促アイデア」と表現し指示を出すと良いアウトプットが返ってくる傾向

継続的な検証と活用が重要

今回のセミナーでは、AI活用には試行錯誤が欠かせないことが浮き彫りになりました。当社では引き続き生成AIに関するナレッジを蓄積し、広報業務においてどのように役立てることができるか共有していきます。

本記事へのご質問や、広報業務における生成AI活用に関してお悩み・ご相談があればお気軽にお問い合わせください。

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