インタビュー記事は企業や個人の魅力を効果的に伝えることができる効果的な露出です。
2024年の最新トレンドを踏まえ、より効果的なインタビュー記事の獲得と活用方法について解説します。
本コラムでは、当社が実施したセミナー「2024年最新版インタビュー記事の傾向と対策」の内容を再編集したものです。
登壇者
桃井 克典(もものい かつのり)
プラップノード株式会社 コンテンツマネージャー
2013年プラップジャパン入社。PRコンサルタントとして、BtoC・BtoB問わず様々な企業・自治体の広報業務に従事。リリース配信、メディアアプローチにとどまらず、イベント、SNS、動画、Webサイトなど様々な手法を通じた戦略立案・実行を担当。2020年よりPRオートメーションのマーケティング担当として、Webサイト、ウェビナー等で広報活動効率化のヒントを発信している。
インタビュー記事の重要性と基本戦略
企業内の「人物」にスポットを当てたインタビュー記事は、PR業界では「人パブ(人物パブリシティ)」とも呼ばれます。人パブ記事は新製品や新サービスの情報発信とは異なり、新規性がなくても掲載獲得が狙えるという点が特徴です。
人パブでの露出を狙う際は、通常のメディアアプローチに加え、下記のような準備をすると掲載確度が高まるとされています。
- コーナー知識
掲載可能性のあるメディアやコーナーの情報収集 - コーナーの傾向分析
直近の掲載記事から、記者の興味や傾向を分析 - 送付用の資料
コーナーの傾向に合わせた提案資料の作成 - トークスクリプト
電話でのアプローチ時に使用する台本 - アプローチの連絡先
記者やコーナーの連絡先情報
特に、コーナー知識の収集は重要です。地道に記事に目を通す他にも、X(旧Twitter)で検索をかけてインタビュー記事を掲載しているメディアを見つけたり、Googleアラートの活用しニュースを拾うといった方法もあります。また、原始的ではありますが広報コミュニティでの情報交換も大いに役立ちます。
ある程度情報が集まったら、直近の掲載を確認し、記者がどのような企業・人物・内容でインタビューしているのか、更新頻度などをチェックします。日頃から「どのメディアが」「どんなインタビューコーナーを持っているか」といったメディア研究を行っていると、情報提供するベストなタイミングも読めるようになります。
インタビュー記事露出の推移
2024年1月から9月までの9ヶ月間で、影響力の高い500媒体において「インタビュー」を含む記事は15,156件にのぼりました。さらにこれらの記事はSNSにおいて合計で約136万回シェアを獲得しており、程度の差はあれど注目度が高いことが伺えます。
インタビュー記事数は2020年のコロナ禍で一時落ち込みましたが、その後は右肩上がりで増加しています。2023年には2万件を超え、2024年も同様のペースで推移しています。この傾向は「人物」にフォーカスする記事への需要が高まっていることを示しています。
王道のインタビュー対象者と記事の特徴
2024年の傾向について解説する前に、インタビュー記事として露出しやすい「王道」の人物像と2024年の露出の傾向を消化します。
王道1「社長(経営者)」インタビュー
社長インタビューは見かける機会も多いと思います。2024年の露出の傾向として、
- 意外な一面やギャップにスポットを当てる
- 人間味のある姿を強調
- 経営哲学や信念を語る(2024年に限らず、人気のあるテーマ)
- 話術や第一印象の良さを動画インタビューで強調
- 現在直面している問題にどう対処しているか語る姿
といった特徴が見られました。
王道2「開発者」インタビュー
商品開発の秘話を語れる開発者インタビューも王道といえます。
- 販売好調時や周年記念時などのタイミングで当時の開発秘話を紹介
- 未来を担う学生との交流の様子
- 社内の別部署との連携をインタビュー形式で語る
- 徹底した市場調査や企業としての原点回帰などと絡めて、開発者のこだわりを紹介
王道3「女性」インタビュー
近年では時代錯誤な印象は否めませんが、未解決の性差問題や、働き方に関する話題で女性社員が注目を浴びることも少なくありません。
社会問題に対し、意義のある活動を行っている社員は注目を集める可能性があります。
【トレンド分析】2024年はどんな切り口の記事が増えている?
当社が調査したところによると、2024年のインタビュー記事では以下のような切り口が注目されています。
1.業界の「新しい風」を捉える
「業界紙×新○○」の組み合わせは依然として有効です。新社長や新製品、新サービスの登場など、業界に新しい動きをもたらす人物や取り組みは、インタビュー記事の格好の題材となっています。
2.従業員満足度(ES)向上への取り組み
ES向上に関するインタビューも上昇傾向にあります。「従業員のためのユニークな制度」や「働きやすさを追求する取り組み」など、人材重視の姿勢を示す内容が求められています。
3.数字で魅せる
数字はビジネスパーソンの注目を集めやすい傾向があります。「XXX億円越えへの挑戦」や「X兆円市場への進出」など、具体的で大きな目標数値や野心的な数字を前面に出すことで、記事の訴求力が高まります。
4.過去と現在を結ぶストーリー
前回のインタビューからの経過報告という切り口もありです。「X年前の目標に対する実績」や「前回語ったビジョンの実現度」など、時間軸を意識したストーリー展開は狙い目です。
5.世代間ギャップを活かす
極端な年齢層にフォーカスを当てた記事が増加しています。例えば、「平均年齢2X歳のXX部門」や逆に「平均年齢70歳超のベテラン部署」など、年齢構成の特徴を活かしたストーリーが読者の関心を引いています。
このように、社員や組織を今一度見直すことで、意外なところに資産が隠れているかもしれません。これらのトレンドを意識しつつ、自社の強みや独自性を効果的に伝えられる人物がいたら協力を得られるよう準備を進めておきましょう。
インタビュー記事の活用と注意点
インタビュー記事は、単に外部への情報発信だけでなく、社内コミュニケーションの活性化にも役立ちます。掲載された記事は社内に共有することで、従業員のモチベーション向上や組織の一体感醸成にも寄与します。
一方で、インタビュー対象者の選定には慎重を期す必要があります。特に、ビジネスパーソンの個人的な行動が企業イメージに影響を与える可能性があることを念頭に置き、誠実で好印象を与えられる人物を選ぶことが重要です。
インタビュー記事の活用に向けて
2024年のインタビュー記事トレンドを踏まえ、以下の点に注力することで、より効果的な広報活動が期待できます。
- 意外性や人間味のある社長・開発者の発掘
- 具体的な数字や目標を交えたストーリー作り
- 社会課題や働き方改革に取り組む人物のピックアップ
- 業界動向や法改正と連動したタイムリーな提案
- インタビュー記事の社内外での戦略的活用
インタビュー記事は、単なる情報発信の手段ではなく、企業の魅力や価値観を多面的に伝える重要なツールです。最新のトレンドを押さえつつ、自社の強みや独自性を効果的に伝えられる人物を見出しアプローチしていくことが、露出への一歩となります。
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