2023年は生成AI元年と言える年でした。ChatGPTの実用化に始まり、MicrosoftのBing AI、GoogleのBard、Anthropic(アンスロピック)のClaudeなど様々な企業からサービスがローンチされ、大きな話題を集めました。
当社では、広報業務における生成AI活用をテーマにしたセミナーを昨年4月から毎月開催し、広報担当者を対象に最新の情報をお届けしています。この記事では第9回のセミナーの様子を一部レポートします。※内容は2023年12月末の情報です。
登壇者
野中 透(のなか とおる)
プラップノード株式会社 マーケティングマネージャー
PRオートメーションのマーケティングを担当。精密機器メーカー、デジタルエージェンシーを経て、2018年プラップジャパン入社。デジタル広告運用、SNS運用、ソーシャルリスニング、アクセス解析など広報領域におけるデジタル施策全般のディレクションを担当。 これまでに食品メーカー、飲料メーカー、外資系IT企業、大手デベロッパー、製薬企業など幅広い業界のデジタル施策を手掛ける。 2022年より、PRオートメーションのマーケティング担当として、デジタル領域を中心とした施策立案、実行に携わる。
桃井 克典(もものい かつのり)
プラップノード株式会社 コンテンツマネージャー
2013年プラップジャパン入社。PRコンサルタントとして、BtoC・BtoB問わず様々な企業・自治体の広報業務に従事。リリース配信、メディアアプローチにとどまらず、イベント、SNS、動画、Webサイトなど様々な手法を通じた戦略立案・実行を担当。2020年よりPRオートメーションのマーケティング担当として、Webサイト、ウェビナー等で広報活動効率化のヒントを発信している。
2023年の記事を生成AIで振り返り
最初に2023年の記事の振り返りを行いました。当社では2016年以降、日本のデジタルメディアの記事を定点観測しています。その膨大なデータベースの中から2023年の記事のみ抽出し、ChatGPTを使って分析を行い、その結果を発表しました。
今回注目したのは、2023年に配信されたWeb記事のうち「SNSでシェアされた記事」です。さらに絞り込みを行い、シェア数における上位3万6000記事を抽出し、分析を行いました。(SNSでのシェア数のことを当社ではバズ数と呼び、効果測定の一つの指標として重要視しています)
メディアごとの配信記事数に加え、このバズ数を可視化し、どのメディアの記事が最もバズ効率が高い(1記事あたりの平均バズ数が高い)か、どんなメディアのどんな記事が拡散されているか、拡散されやすい傾向にある記事カテゴリは何だったか、などを、ChatGPTを使って図や文章でまとめたものを発表しました。
広報視点で企画の示唆を得る
さらにこれらの記事データの中から、企業情報が取り上げられている記事を50件洗い出し、それをChatGPTに読み込ませて傾向を測るという試みを行いました。
次にそれぞれの記事タイトル/メディアを分析をし、 そのメディアごとの記事の取り上げられ方の特徴をChatGPTに分析させます。さらに広報目線で、メディアの特性に合わせた企画の切り口を提案するよう指示するということを行いました。
返ってきたのが上記のアウトプットです。一部、人の力でデータを集めたり加工したりする必要があるものの、広報業務のアドバイスやヒントをChatGPTによって得るということは、現状でも十分に可能だと感じられる結果でした。広報担当者ひとり一人が、生成AIという専用の広報アドバイザーを相棒に持つという未来もそう遠くないかもしれません。
2024年以降の生成AIはどうなる?
続く後半では、テクノロジーの経過時間とその期待を示したハイプサイクルを用い、「2024年以降の生成AI」をテーマにトレンド予測を行いました。
ハイプサイクルの理論によると、生成AIは今、ピーク期を過ぎたあたりにあります。2024年以降は幻滅期に入り、情報漏洩をはじめとしたさまざまなリスクに焦点が当たるのではないかと予測されます。とはいえ、生成AIに関しては今後、啓発期を経て生産の安定期に入るであろうというのが当社の見方です。現状、生成AIの業務活用に可能性を感じている方は、情報を慎重に見極めること、報道や偏った意見に惑わされずに状況を判断する必要がありそうです。
発信のマルチコンテクスト化も生成AIで
セミナーの最後には、広報業務で活用できる生成AIのプロンプトを2つ紹介しました。
近年、広報関連の雑誌や書籍を読んでいると、発信情報のマルチコンテクスト化の有効性を示すものが多くあります。マルチコンテクスト化とは、一つの情報を発信する際、メディアごとに切り口を変えて発信を行う行為です。
口で言うのは簡単ですが人の力だけでやるのは手間のかかるところを、ChatGPTにたたき台を作ってもらおうという試みです。実際にプロンプトを公開して結果をお見せしました。
アウトプットの結果は上記の画像の通りです。再現性のあるアイデアが複数提示されました。さらに条件を細かく指定するなど工夫を行うことで、より自社にあった内容にカスタマイズすることもできそうです。そのほかセミナーでは、業界内の競合比較についても簡単な表を作成する手法についてもプロンプトを含めて紹介しました。
情報とAIのリテラシーを身に着けることが重要
生成AIは技術革新の流れが非常に早く、新しいサービスが次々と生まれている分野です。当社でも、過去に開催したセミナーでご紹介したプロンプトが半年後には古くなっている、ということが幾度も起こっており、そのたびに新しい情報発信に努めています。生成AI活用に興味のある方は、最新の情報をキャッチし、偏向報道に惑わされないリテラシーがさらに重要になってくると言えます。
当社では「生成AI×広報」をはじめとして、広報担当の皆様の役に立つ無料セミナーを多数開催しています。ぜひ情報のキャッチアップにご活用ください。
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