本コラムでは、当社で定期開催している「広報×AIの可能性」と題したセミナーの内容を再編集してお届けしています。今回は第15弾、生成AIを活用したコンテンツ制作の可能性について紹介します。生成AIを味方につけることで、よりクリエイティブな広報活動の可能性が見えてきました。
※本記事は2024年9月時点での情報です。記載する見解は当社独自のものを含みます。
※この記事は下記のオンラインセミナーを再編集したものです。セミナー資料のDLはこちらから。
生成AIで広報のコンテンツ制作に挑戦
登壇者
野中 透(のなか とおる)
プラップノード株式会社 マーケティングマネージャー
PRオートメーションのマーケティングを担当。精密機器メーカー、デジタルエージェンシーを経て、2018年プラップジャパン入社。デジタル広告運用、SNS運用、ソーシャルリスニング、アクセス解析など広報領域におけるデジタル施策全般のディレクションを担当。 これまでに食品メーカー、飲料メーカー、外資系IT企業、大手デベロッパー、製薬企業など幅広い業界のデジタル施策を手掛ける。 2022年より、PRオートメーションのマーケティング担当として、デジタル領域を中心とした施策立案、実行に携わる。
桃井 克典(もものい かつのり)
プラップノード株式会社 コンテンツマネージャー
2013年プラップジャパン入社。PRコンサルタントとして、BtoC・BtoB問わず様々な企業・自治体の広報業務に従事。リリース配信、メディアアプローチにとどまらず、イベント、SNS、動画、Webサイトなど様々な手法を通じた戦略立案・実行を担当。2020年よりPRオートメーションのマーケティング担当として、Webサイト、ウェビナー等で広報活動効率化のヒントを発信している。
生成AIで作成できる広報コンテンツとは?
生成AIは、文章、画像、音声、動画など、さまざまな形式のコンテンツ制作に活用できます。広報活動において特に活用が期待される領域はどんなものがあるでしょうか。
①文章コンテンツ
- コラム作成
- SNS投稿文
- キャッチコピー作成
②画像・デザインコンテンツ
- イメージ画像
- インフォグラフィック
- ロゴ
- QRコード
③音声コンテンツ
- 読み上げ音声
- フリーBGM
④動画コンテンツ
- SNS投稿用動画
- イメージ動画
- リリースなどの資料動画
文章コンテンツ制作のコツ
文章作成は生成AIが得意とする分野ですが、抽象的な指示では適切なアウトプットは期待できません。AIに自社のトンマナや過去の事例を学習させるなどといった工夫が必要です。また、複数の案を生成させ、その中から人間が選択・編集するなど人の手が介在することがマストになります。
例として、コラムを作成する場合は次のようなプロセスを踏むのがおすすめです。
- 過去に作成したコラムのURLや内容をAIに読み込ませる
- 「○○向けに××というテーマでコラムを書いてください」と指示を出す
- まずは目次案を作成してもらい、人間がチェック・修正する
- 修正した目次を基に本文を生成させる
- 生成された本文を人間が確認し、必要に応じて編集・調整する
依頼者(人間)が、生成された文章で何をしたいのかをAIに正しく伝えること、生成されたコンテンツは人間の目で確認を行い、不適切な表現などがないか確認を行うことが重要です。
文章コンテンツ作成でおすすめの生成AI
ChatGPTやGoogleのGemini、AnthropicのClaudなどが文章の生成に向いています。
画像・デザインコンテンツ制作のコツ
画像コンテンツの制作においても、生成AIは着実に進歩してきています。目的に応じたツールを紹介します。
リアルな画像生成「ImageFX」
GoogleのImageFXは高品質な画像生成が可能で、企画書やプレスリリースに挿入するイメージ画像の作成に活用できます。
ImageFXは生成された画像の一部をフリーハンドで選択し、「この人物の持っているカップを黒のマグカップに変更して」といった具体的な指示を出すことで、より意図に沿った画像を作成できます。
インフォグラフィックスを簡単生成「Napkin AI」
グラフや概念図を自動で生成する「Napkin AI」も広報コンテンツ作成として便利です。これはテキスト情報を入力するだけで、複数の図解案を提案してくれるもの。現時点ではフォーマットの数が少ないものの、今後活用の機会が増えそうなサービスです。
ロゴ作成が可能「Brandmark」
イベントや小規模プロジェクトのロゴ生成ができる「Brandmark」は、アイコンとして利用したいシンボルマークのイメージや、イベントのイメージをキーワードで入力するだけで複数の候補を提案してくれるものです。
商標権を購入することもでき、他のユーザーが自社の生成したロゴを使わないようにすることも可能です。
音声コンテンツ制作のコツ
音声の生成は、人間同士の会話(ボッドキャストやラジオ)はまだ難易度が高いものの、吹き替えや、BGM作成に使えます。音声マニュアルの作成や、動画コンテンツの読み上げ、イベントのBGM作成に便利です。
株式会社さんが運営する「音読さん」は、テキストを貼り付け、選択した言語で音声が生成されるものです。当社でも海外アワードに応募する際に英語の台本を読み上げる目的で使用しました。
注目の動画コンテンツ制作のコツ
SNS等でも見かけることの多い動画コンテンツについては、まだ発展途上の感もありますが、静止画を動画化する技術は実用段階に近づいています。
広報分野での利用方法として、SNS投稿動画の作成(静止画を動画化)、簡単なコンセプト動画の作成(テキストを動画化)、プレスリリースやスライド資料から動画を作成(資料を動画化)などが考えられます。
ただし、人物の表情や細かいパーツの動きなどは不自然なものが生成されることもあります。プロンプトの調整を繰り返すことで自然な動画を生成できるようになりますが、人の目による確認は必須です。
当社のXアカウントでも、生成AIを活用した動画投稿・画像投稿を試験的に行っていますので、興味のある方は一例としてご覧ください。
生成AIでコンテンツ生成する際の注意点
生成AIを活用してコンテンツを作成する際は、以下の点に注意する必要があります。
1. 著作権の問題:生成AIが作成したコンテンツの著作権については、まだグレーな部分が多くあります。特に画像や音楽の生成においては、既存の作品を学習データとして使用している可能性があるため、商用利用の際は慎重に判断する必要があります。
2. 品質のチェック:生成AIは時として、事実と異なる情報や不自然な表現を生成することがあります。必ず人間がチェックし、必要に応じて修正を加える必要があります。
3. 個人情報の取り扱い:生成AIツールに企業の機密情報や個人情報を入力する際は、そのツールのセキュリティポリシーを確認し、情報漏洩のリスクがないか慎重に判断する必要があります。
4. AIの限界の理解:生成AIは便利なツールではありますが、万能ではありません。人間による取捨選択が必要な場面も多くあります。AIはあくまでサポートツールとして活用し、最終判断は人間が行うという姿勢を徹底することが重要です。
生成AIの広報活用に期待
さまざまな形式のコンテンツ制作でAIを活用することは、作業時間の短縮や新しいアイデアの創出という意味で期待できます。AIと人間のそれぞれの強みを生かしながら、より効果的な広報活動を展開していくことが、これからの広報の在り方となっていくのではないでしょうか。
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