広報活動を行っていく上で、ステークホルダーとの良好な関係構築は最優先事項。しかし、中にはコミュニケーションに苦心していたり、メディアリレーションがうまくいっていないという悩みを抱えている方も多いようです。
本コラムでは営業担当者が使う心理テクニック「4つの不」の考え方をもとに、電話における効果的なコミュニケーション、メディアリレーションの方法について解説します。
※この記事は下記のオンラインセミナーを再編集したものです。セミナー資料のDLはこちらから。
メディアリレーションで意識したい”4つの不”
登壇者
中島 宇喬(なかじま うきょう)
プラップノード株式会社 インサイドセールス
青果市場の営業からキャリアをスタート。代理店の営業職として経験を積んだ後、2022年プラップノードに入社。
PRオートメーションのインサイドセールスを立ち上げから担当。
広報・PR担当のお悩み解決のため、日々広報トレンドを収集し、トークスキルを研鑽。通算1000件以上の商機を創出している。
コミュニケーション活動と「4つの不」
広報担当者の仕事の本質はコミュニケーションにあるといっても過言ではありません。その一つとして、メディアとのコミュニケーションが挙げられます。メディアと良好な関係を築き維持することは、企業の情報発信力・ブランドイメージの向上に寄与するだけではなく、炎上対策、いわゆる「守りの広報」にも効果的です。
しかし、当社に寄せられるお悩みの中にはメディアとコミュニケーションに課題を感じている方も少なくありません。特にテレフォンアプローチは苦手意識を持っているケースが多いようです。
そこで今回は、
不信:信用できない
不要:必要ない
不適:適していない
不急:急いでいない
上記の4つの「不」を克服することがコミュニケーション課題を解決するヒントになるという前提のもと、そのロジックを解説します。
「不信」を克服する:信頼関係構築のテクニック
「不信」は、コミュニケーションにおいて最初の障壁となります。知らない番号からの電話や突然のメールに警戒した経験のある人は多いのではないでしょうか。このような「不信」の感情を克服するためには、以下のテクニックが有効です。
①二者択一話法
これは、オープンクエスチョンではなく、2つの選択肢を提示することで、相手の答えやすさを高めるという話法です。
たとえば、月曜日と火曜日に渡ってイベントを開催するとします。そこにメディアを誘致するため直接電話をするというシチュエーションがあったとき「月曜日と火曜日にイベントを行うのですが、興味ありませんか?」と問いかけると、相手からの答えは「興味がある」「ない」の回答になってしまいます。
二者択一話法を使った場合、「月曜日と火曜日にイベントを行うのですが、どちらかご都合つかないでしょうか?」という問いかけになり、誘致成功率が期待できます。それだけではなく、会話のラリーを短縮でき、効率化という意味でも効果があると考えれます。
②Yesどり
「Yesどり」とは、会話の中で相手から複数の「Yes」を引き出すことで、最終的な提案に対しても肯定的な反応を得やすくなるというものです。これは、人間は既に許可(Yes)を出した状況下では、ストレスなく次のYesを出しやすいという心理に基づくものです。
上図の場合、相手が「はい」「そうです」「いいですよ」などYesを答えられるところまで言い切る、というのがポイントです。「○○の件でご連絡だったんですけど…」などと語尾を濁してしまうと、相手のYesを取りにくくなります。
Yes取りの話術は「マジックナンバー3」との併用が効果的です。マジックナンバー3とは、人が情報を処理したり記憶したりする際に、3という数字が特に意識の残りやすく、効果的であるという考えに基づいています。「お時間2,3分よろしいでしょうか?」という使い方はもちろん、資料を作る際に「3つの○○」という見せ方をするなどの方法で活用されます。
③イエスバット法
「イエスバット法」は、相手の意見を一度受け入れ(イエス)、その後で別の提案をする(バット)方法です。
人は自分の意見に対して「でも」と反論で返されるのは嫌なもの。そこで、接続詞を「もし」「よかったら」などに変更します。これだけでコミュニケーションが弾む可能性が生まれます。
この手法は、相手の立場を尊重しつつ自分の提案を効果的に伝えることを目的としたコミュニケーション技法です。そのためにはまず相手の意見や状況を十分に理解し、受け入れる姿勢を示すことが重要です。これにより相手は自分の意見が尊重されていると感じ、コミュニケーションがスムーズになります。
④返報性の法則
人は何かを受け取ったとき、お返しをしたいと感じる心理傾向があります。この「返報性の法則」を活用することで、メディアとの関係構築に役立てることができます。いわゆる「おまけ」戦略です。
返報性の法則を使う際は、ありがた迷惑にならないよう注意が必要です。相手の目線に立ち、本当に価値のある情報を提供すること、また、Why you(なぜあなたに)とWhy now(なぜ今なのか)を明確にして伝えることで、より効果的なアプローチが可能になります。
これらのテクニックは一つひとつを意識するだけでも効果的ですが、複数の話術を適切に組み合わせることで、初めて話す相手でも信頼関係を築きやすくなります。
重要なのは「相手の立場に立ち、相手が答えやすい環境を考え、用意する」ことです。営業手法と聞くと押し売りのような印象を受けることもあるかもしれませんが、これらの話術の本質は相手の立場や心情を配慮することにあります。
「不要」を解消する:的確なターゲティング
次に「不要」の解説です。
メディアの立場で考えてみると、企業の広報部から送られてくる情報の中には不要なものも多く含まれています。この「不要」感を解消するためには、的確なターゲティングが欠かせません。
①3C分析の活用
顧客(Customer)、自社(Company)、競合(Competitor)の3つの視点から分析を行い、各メディアにとって本当に必要な情報は何かを見極めます。
②過去の履歴の活用
過去にどのような情報に反応があったかを記録し、活用することで、より的確な情報提供が可能になります。
③送付リストの精査
闇雲に多くのメディアにリリースを送るのではなく、内容に適したメディアを選別することが重要です。
これらのターゲティングを人力で行うのは至難の業です。適切なツールを活用してメディアごとの反応率や興味関心を可視化し、より効果的なリスト作成を実現することが「不要」の突破には不可欠です。
「不適」を避ける:メディア特性の理解
送られてきた情報が興味深くても、そのメディアの特性に合致していない場合、「不適」となってしまいます。これを避けるためには、以下の点に注意が必要です。
①メディアごとの特性把握
新聞、テレビ、ウェブメディアなど、メディアの種類によって求める情報や表現方法が異なります。各メディアの特性を理解し、それに合わせた情報提供を心がけましょう。
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②個人レベルでの管理
同じメディアでも、記者によって興味関心は異なります。個人レベルでの情報管理を行い、それぞれの記者に適した情報を提供することが重要です。
③定期的な見直し
送付したリリースの反応を分析し、各メディアや記者にとって適切な情報だったかを定期的に見直すことで、より効果的な情報提供が可能になります。
「不急」への対応:タイミングの重要性
メディアにとって「急ぎではない」情報は、後回しにされがちです。この「不急」感を解消するためには、以下の点に注意が必要です。
①適切な時間帯での連絡
メディアの種類や担当者の役割によって、最適な連絡時間帯は異なります。それぞれの特性を理解し、最適なタイミングでアプローチすることが重要です。
②最新の情報管理
担当者の異動や役割の変更など、メディア側の状況は常に変化しています。最新の情報を常に把握し、適切な担当者に適切なタイミングで連絡することが求められます。
③緊急度の明確化
情報の緊急度や重要性を明確に伝えることで、メディア側の対応の優先順位を上げてもらうことができます。ただし、過度に緊急性を強調すると信頼を損なう可能性があるので、適切な判断が必要です。
効果的なコミュニケーションの実践に向けて
効果的なメディアリレーションを実現するためには、「4つの不」(不信、不要、不適、不急)を意識し、それぞれに適切に対応していくことが重要です。
これらの取り組みを効率的に実施するためには、PRツールの活用も検討も効果的です。当社のPRオートメーションは、特に「不要」「不適」「不急」を回避するための情報を可視化し、人的リソースを戦略的な判断やクリエイティブな業務に集中させることができます。
「PRオートメーション」に関するご質問はこちらから募集しています。お気軽にご相談ください。
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