
「新商品を出してもメディア掲載につながらない」「SNSでの拡散が思ったほど伸びない」
そんな悩みを持つ広報担当者は多いのではないでしょうか。今回のセミナーでは、主要フードメディアの傾向と、今注目すべきインフルエンサー活用の最新トレンドを整理しました。
このコラムを読めば、どのメディアにどう情報を出すべきか、どんなインフルエンサーを活用すると効果的かが見えてくるかと思います。明日からの広報活動に役立つ“実務ヒント”をお届けします。
※本記事は2025年7月に開催したウェビナーの内容を再編集したものです。内容は開催当時の情報になります。また、弊社独自の見解が含まれるため、他社と見解が分かれる可能性があります。
登壇者

桃井 克典(もものい かつのり)
プラップノード株式会社 コンテンツマネージャー
2013年プラップジャパン入社。PRコンサルタントとして、BtoC・BtoB問わず様々な企業・自治体の広報業務に従事。リリース配信、メディアアプローチにとどまらず、イベント、SNS、動画、Webサイトなど様々な手法を通じた戦略立案・実行を担当。2020年よりPRオートメーションのマーケティング担当として、Webサイト、ウェビナー等で広報活動効率化のヒントを発信している。
1. 主要フードメディア・コーナーの傾向を把握する
【参考】
今回定義する主要メディアとは、自社の広報活動において影響力を持つ媒体を指します。定義の仕方は大きく二つあり、ひとつは記事を通じて自社ホームページへどれだけ流入を生んだかという「実績ベース」、もうひとつは記事がSNSでどれだけシェアや反響を集め、人を動かしたかという「バズ数ベース」です。前者は各社内部でのみ把握可能ですが、後者は客観的に計測できるため、広報活動の効果測定に有効とされています。
※バズとはPRオートメーション独自の指標となります

例えば、「掲載数が多いメディアが必ずしも影響力があるとは限らない」という事実、意外と見落としがちです。広報担当者は、“SNSでバズる”メディアかどうかを一つの指標にして、媒体選定を行う必要があります。バズっている記事が多かった3つのフードメディアと3つのフードコーナーは以下の通りです。
えん食べ
- 月初の新商品まとめが狙い目
- 掲載にはスピード感と写真素材の提供が重要
- 2024年に休止していた「実食コーナー」が再開、試食誘致が有効

グルメWatch
- 速報記事だけではなく、記者会見などで出席写真や試食会レポートなど幅広い
- 記事数が多く、キャンペーンやクーポン情報などのネタも
- カテゴリのなかに個別のコーナーあり

macaroni
- 「贅沢」「ワンランク上の体験」が好まれるキーワード
- 編集部だけでなくライター経由も多く、個別DMでの接触が有効
- 食べ比べ記事が多く、試食セットの提供が刺さりやすい

FASHION PRESS
- 高級ホテル商品からコンビニスイーツまで幅広く扱う
- 「生食感」「濃厚」「香る」など独特の表現を好む傾向
- 限定感と写真クオリティが鍵

Fashionsnap
- スタバや海外パティスリーなど高級系カフェ情報中心
- ファッションブランド×フードのコラボに強い
- 「世界初」「数量限定」など特別感が重要

ORICON NEWS
- 芸能人との関連づけ、異業種コラボの紹介が多い
- 夜型生活・冷食など、生活文脈との掛け合わせに注目
- エンタメ情報とセットで提供すると掲載されやすい

因みに、最近のヤフトピ(Yahoo!トピックス)で取り上げられるグルメ情報には、以下の傾向が見られます。
| 区分 | トレンドキーワード | 広報戦略での活かし方 |
| 外食 | プチ贅沢・郊外型・投げ銭導入 | 生活者の“背徳感×ご褒美感”を掛け合わせた訴求が◎ |
| 商品 | 夜パフェ・完売・長期熟成 | 体験価値/資産価値などのストーリーを添える |
| 食文化 | 土用の丑の日の逆転発想・定番の進化系 | 「●●が変わってきている」に乗せたメディアリリースが有効 |
| 市場動向 | 豚肉高騰・サンマ5万円・駄菓子の終売 | 供給課題や消費行動の変化に言及したリリースが評価される |
広報担当者は、「社会背景や生活者の変化に自社商品をどう結びつけるか」が掲載の分かれ目になります。
2. インフルエンサー動向の3つの潮流
今回のセミナーで整理したのは以下の3つのトレンドです。
「 正直レビューインフルエンサー」
「界隈(特化型)インフルエンサー」
「近業種コラボ」
近年、Z世代やミレニアル世代を中心に「忖度なしの本音レビュー」を求める傾向が強まっています。
「いいところばかり並べられた情報」ではなく、「正直に、合わない点も含めて伝えてほしい」というニーズが急増しているのです。結果として「信じられる情報源」として拡散力が高まっています。
① 正直レビューインフルエンサー
- 良い点も悪い点も率直に発信
- 「行って失敗したくない」心理に刺さる
例:@shojiki_sweets、@nosuke_bocchi、@burger_man
〈インフルエンサー依頼時のコツ〉
・商品に自信がある場合は、あえて正直レビューを依頼
・投稿ルールを縛りすぎず、「悪い点も書いてOK」と伝える
②界隈(特化型)インフルエンサー
- 銀座ランチ専門、大阪グルメ食べ歩きなど検索性の高いテーマ
- 少人数でも濃いフォロワーに響く
例:@ginzalunchman、@osaka_gourmet3
③近業種コラボ
- フード以外の層と組むことで新しい認知を獲得
- キャンプ系YouTuberにレトルト食品を提供するなど意外性が拡散の鍵
例:「オカノリごはん」(料理系YouTuber)、「長野社長」(建設業界系YouTuber)
まとめ
今回のセミナーから得られる気づきは以下の通りです。
- 主要フードメディアは媒体ごとに狙い目や切り口が異なる
- バズ数で“人を動かす記事”を測定し、戦略に活かせる
- インフルエンサーは正直レビュー・界隈特化・近業種コラボが鍵
- PRオートメーションで施策を資産化し、再現性を高められる
広報担当者ができる第一歩は、「自社に合った重要媒体とインフルエンサーをリスト化」することです。
その積み重ねが、次の成果につながります。
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