広報・PR担当者の基本業務であるプレスリリース作成。プレスリリースは企業とステークホルダーを結ぶ最もベーシックなコミュニケーション手段です。
この記事ではプレスリリースの定義から発信する目的、メディアの注意を引き記事掲載を獲得するためのコツなどを紹介します。
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プレスリリースとは
プレスリリースは、企業や組織が発表する「対外向け公式文書」のことを指します。内容は新商品やサービスの情報、人事関連から社会活動、決算報告など多岐に渡り、企業が自社のあらゆる情報を広く発表するために用いられるものです。
プレスリリースの読み手
プレスリリースの読み手はメディア関係者・生活者・取引先・株主など企業を取り巻くあらゆるステークホルダーです。
プレスリリースの語源は「press=報道機関」+「release=発表、公開」であると言われており、そもそもはテレビ、新聞、雑誌などのメディア担当者に向けて作成されるものでした。しかしワイヤーサービス等の発展に伴い、生活者にもプレスリリースが届く環境が整備されたことで、プレスリリースは誰でも気軽に読むことができるものとなりました。
プレスリリースはメディア・生活者のほか、投資家や株主、取引先や地域に至るまで多岐に渡ります。
プレスリリースを書く目的
企業広報はメディアにプレスリリースを提供することで、第三者目線による報道・記事化を狙います。それによって記事を読んだ・見た人から認知や信頼性を獲得することにつながるのです。広報にとって、情報を拡散してくれるメディアは重要な存在であり、プレスリリースはメディアへのアピールを低コストでできる機会と言えます。さらに、それ自体が企業活動のアーカイブにもなります。
またメディアにとっても、一次情報であるプレスリリースは重要な情報源です。企業広報とメディアは持ちつ持たれつの関係にあると言えます。
プレスリリースの基本構成
続いてプレスリリースの基本構造を解説します。下記の5要素(ヘッダー、タイトル、リード、ボディ、フッター)の記載を意識しましょう。
掲載獲得のための9つのチェックポイント
次に、リリースがメディア掲載されるための9つのポイントをご紹介します。メディア掲載を狙うためには、企画段階・作成段階・発信時・発信後、それぞれに気を付けたいポイントがあります。
【企画段階】
1. プレスリリースに必要なニュースバリューを意識する
2. 「YTT」を見つける
【作成段階】
3. 逆三角形を意識して作成する
4. わかりやすい表現で、具体的な内容を書く
5. インパクトのある画像を選ぶ
6. グラフや数字で客観性を解説
【発信時】
7. 取り上げてくれそうなメディアを見極め、必要に応じて切り口を変える
8. 発表するタイミングを意識する
【発信後】
9. 発信後の既読率を測りPDCAサイクルを回す
一つずつ解説していきましょう。
①プレスリリースに必要なニュースバリューを意識する
まず、プレスリリース企画段階のポイントにニュースバリューを意識することがあげられます。
記者がプレスリリースを読んで「記事化できる」「できない」の判断を下す材料としているのがニュースバリューの有無です。
ニュースバリューはPRの基本である「社会性(時事性)」「新規性」といった要素のほか、下記のような項目があります。
ニュースバリューが多ければ多いほど、ストレートニュースになりやすいと言えます。
メディアや記者によって重要視する項目もそれぞれ異なるでしょう。適切なメディアに適切なリリースを送付するためにメディア分析を行うことも対外広報の任務と言えます。
関連記事:メディアに読まれるリリースとは?取り上げたくなる企画作りに役立つ「メディア研究」を解説
②「YTT」を見つける
YTTは「Yesterday」「Today」「Tomorrow」の頭文字をとった要素のことです。
リリースに「過去の情報や背景」「現在の状況」「今後の展望や見通し」の3要素入れられると、リリース内容を取り巻く時系列が明らかになり、関連してニュース化の可能性が高まります。具体的には過去のデータや具体的な事例などを盛り込むことで説得力が上がります。
③逆三角形を意識して作成する
次に実際プレスリリースを作成するときのポイントです。プレスリリースは下記のような「逆三角形」を意識し、タイトルに結論、リードに概要を記載し、ボディで詳細を記載するのが一般的です。
「逆三角形」を意識する理由は二つあります。一つは、メディアのニュース記事も基本的に逆三角形型を意識して書かれるものだから。記者の手間を考えれば型を踏襲する方が親切なのです。
もう一つの理由は、プレスリリースもニュース記事も「最後まで読まれない」という想定で書かれているものだからです。
たとえば新聞の朝刊を毎朝欠かさず読む人は、記事の見出しを読んで本文を読み進めるか否か決めることが多いといいます。Webのニュース記事やプレスリリースもこれと同じことが言えます。メディア担当者は毎日、数百件ものプレスリリースを受け取っており、その中で目を通すのは1割~2割程度といわれています。興味を引いたもののみ内容を読んでもらえるのなら「これだけは伝えたい」要素はできるだけ頭に持ってきた方が多くの人に目に触れることになるでしょう。
記事化や問い合わせにつながるプレスリリースには下記のような3つの関門があると言われています。冒頭の情報の重要性がよくわかるのではないでしょうか。
④わかりやすい表現で、具体的な内容を書く
プレスリリースを読む層は幅広く、そのため文章表現にも注意が必要です。
- 誰が読んでもわかるような表現を心がける
- 抽象的な表現は避け、具体的な内容を掲載する
- 専門用語はなるべく避ける
- です/ます調で書く
- 1文100文字程度を目安にコンパクトな文章を心がける
- 同じ言葉の乱用や語尾の重複は避け、読みやすい文章を心掛ける
記事にそのまま使えるような、わかりやすい文章であればあるほど記事化の可能性は高まります。
⑤インパクトのある画像を選ぶ
プレスリリースには1枚以上、キービジュアルとなるような画像を掲載するようにしましょう。画像が記事化のマスト条件になっているメディアもあります。抽象的な画像ではなく、プレスリリースの内容と一致するものを掲載します。必要に応じて画像に説明文をつけるのも記事獲得のためには有効です。
画像を掲載する際は、画像内に社外秘情報などの映り込みがないか注意しましょう。
⑥グラフや数字で客観性を解説
タイトルやリードには書ききれなかったデータや数字を記載することはメディアの目に留まりやすくなるという点で有効です。数字を社会性や時事性と絡められると、メディアが報じる理由になり得ます。
⑦取り上げてくれそうなメディアを見極め、必要に応じて切り口を変える
続いて発信時のポイントを解説します。発信時に重要なのがメディアリストの存在です。ターゲットとなるメディアを見定め、配信メディアリストを準備します。
たとえばBtoCエンタメ系メディアに投資家向け情報を送っても、記者にとってはノイズになるどころか「関係のないリリースを送ってくる、迷惑な担当者」という印象を与えかねません。想定するリリースの読み手から逆算し、メディアを選定しましょう。場合によっては、一つの情報発信でもメディアごとに複数の切り口を変えたリリースや企画書を用意して送付することも有効です。
関連記事:【広報戦略】基礎から知る!メディアアプローチ成功のヒント
⑧発表するタイミングを意識する
発信のタイミングは「販売開始前」「実施前」「導入前」が原則です。それ以降はニュースとしての鮮度が落ち、メディア掲載の確率は低くなります。
また、配信する曜日を工夫することでメールの既読率をあげることにもつながります。一般的にリリース送付が多いのは火曜・木曜とされていますが、どの会社も週中に送付しがちという状況を逆手にとって、週始めの月曜日や金曜日をあえて狙うなどして注目度をあげることが有効なケースもあります。
⑨発信後の既読率を測りPDCAサイクルを回す
このようにさまざまな工夫を凝らして発信したプレスリリースが、本当に記者に読まれているか測るのは広報活動を改善していく上で非常に重要です。
メール(リリース)が読まれていないのであれば媒体選定を見誤っている可能性がありますし、開封されているにも関わらず記事化されないならば内容を精査する必要があります。プレスリリースは書いたら終わり、ではなく、配信後の記者の反応を確認し次の活動に活かすことが重要です。
プレスリリース作成は広報の重要な役割
プレスリリース作成は事実をもとに文章を作成するだけではなく、情報収集や画像集め、特徴をまとめて内容に反映させたり、発表タイミングを見極めたりするなど多岐に渡ります。
広報業務で重要なことは、このような作業を通じて、発信する情報の中から本記事でご紹介した新規性・ 社会性 ・ 具体性などニュースバリュー、あるいはYTTの要素を「見つける」ことです。これは容易なことではありませんが、多くの事例に触れ、配信した結果を既読率などの形で確認することでコツをつかめるようになります。
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