一般に広報・PRの効果測定は難しいとされています。そのため、会社に対する貢献度が見えにくく、社内における立ち位置が不明瞭になり正当な評価を受けられない、そもそも経営への報告の仕方が難しい…という担当者の悩みを聞くことも少なくありません。
有効な効果測定を導入せねばと思うものの、そもそもどういう方法が正当なのか定まっておらず、また、良いものがあったとしても過度に煩雑だったりして、現実的な運用の難しさから頓挫したという声もよく耳にします。
この記事では「広報・PRの効果測定」をテーマに、広報における効果測定の考え方や手法、成功している企業の事例までご紹介します。
この記事でわかること
・広報の効果測定を成功させるヒント
・重視すべき指標
・成功している企業の事例
広報・PRを効果測定する難しさ
広報の効果測定といえば「記事の広告換算額を測る」のがオーソドックスな手法でした。広告換算額はシンプルでわかりやすく、かつ定量的に評価できるという点ではメリットのある指標です。しかし大量のデジタルメディアが台頭し、ユーザーがセグメント化された近年では、広告換算額のみが経営目標や売上に直結するとは言えない状況にあります。たとえばPR会社が出している広告換算額も、会社によって金額が異なります。
広告換算額は、広告出稿料金やCM放送費、Webメディアの規模などから判断するものですが、そもそも上記のように基準が曖昧で実態を伴っていないというデメリットがあるのです。このような状況で広告換算額のみを指標に置くことは適切ではありません。
では、広報の効果測定は何を指標にするのが最も適切なのでしょうか。一般的に広報の効果測定指標はリリースの配信数、露出率、媒体・記者とのコンタクト、PV、ソーシャルリスニング…など、さまざまな指標があります。指標が多すぎて「この中から何を指標にすればいいのかわからない」「集計にコストがかかりすぎる」「次の活動への活かし方がわからない」「社内の理解が得られない」というお悩みも非常に多く耳にします。
この問題を紐解くために、まず測定内容を3つの軸で整理し直すことが改善への一歩だと当社では考えています。
3つの軸で見えてくる「インパクト指標」の重要性
3つの軸は以下の通りです。
- 行動
- 成果
- 社会や経営へのインパクト
がその3つです。
「行動」は広報部門の具体的なアクション指標です。リリースをこれだけ作成した、問合せに対応したなどがその例です。「成果」は「行動」に対する反応です。リリース配信に対してメディアで掲載された、記者にアプローチしたらリリースを読んでもらえた、自社HPのアクセスがあがった…などがそれにあたります。この二つに対して「インパクト」は経営課題に対する貢献指標です。上記画像の内訳は仮定のものであり、実際の内容は企業によって異なります。
インパクト指標に貢献するために
経営が期待するのは当然「インパクト」です。であれば「インパクト」から逆算した広報活動をする必要があります。しかし、たとえば「リリースを大量に配信して露出数が増える」という行動成果を成し遂げた結果、それによって企業の認知度が大幅に向上したと断言するのは難しいものがあります。仮にそういった事実があったとしても、他の要素が複雑に絡んでいる可能性も多分にあり得るからです。「この結果は広報の施策によるものです」と断言できない環境が広報担当者の立場を苦しいものにしています。
この問題を解決する糸口は、広報の成果と経営の求めるインパクトの紐づけを経営陣と共に設定することです。経営の広報に対する期待値と、現状の広報課題を明確にし、その上で何を指標とし、どれをどのような方法で計測するのか考える必要があります。
日別のデータを持つことが効果測定成功のカギ
その上で効果測定を成功させるカギとなるのが日別データの蓄積とそれを使った分析です。
上記の画像はメディア露出データと企業の売上データを可視化し、比較したものです。このようにそれぞれのデータを日別で確認・比較できる環境を作ります。そうすると、リリース配信や露出のタイミングと自社HPのアクセス数の比較など、さまざまな切り口から分析することができます。広報の行動・成果と、売上などのインパクトの連動性を主観に頼らずデータで確認がすることが可能になり、経営を納得させうる説得力のあるデータを探すこともできるようになります。
こうしたデータは競合分析にも役立ちます。ツールを使用する必要はありますが、重要媒体の露出数やSNSでの「いいね!」数を可視化し、その数を競合と比較することも可能です。重要なのはスポットではなく日別の蓄積データを持つこと、成果の数値だけを追わず他のデータと比較すること、この二つを両立させることです。
企業によって異なる効果測定を成功させるヒント
インパクトを見据えた上で、データを駆使し、いろいろな指標を組み合わせて自社にフィットする効果測定を探っていく手法について紹介しました。とはいえこれらの効果測定を手動で行うことは限界があります。自動化の導入にはツールの活用が有効です。プラップノードが提供する「PRオートメーション」は、クリッピング、リリースの配信数、記者の既読数、掲載数、記事のポジネガ比率、広告換算費、推定PV数、SNSの拡散数などを自動表示できるPR専用のツールです。広報業務を自動化し、集計などの作業から解放されれば「自社における真の重要媒体」「追うべき指標」をデータから分析し、「重要媒体に載るにはどうすればいいか」「次の活動へどうつなげるか」といった企画・改善案を数値を前提に考える業務へ移行することができます。
他社事例|実際に企業が行っている指標を紹介
企業のフェーズや広報の成熟度によって指標は異なるものですが、実際にツールを導入し、データを使った効果測定を行っている企業の例を紹介します。
ブラザー販売株式会社
広報スキルが属人化し、行き詰まりを感じていたという同社。分析ツールを導入し、既読率を軸に広報のKPIを導入したところ、リストの精緻化が進み、安定した成果が出やすくなったといいます。
「既読結果を見て、狙っていた分野のメディアがしっかり見てくれているのがわかるとやりがいもあがります。今はこの既読率を一つの指標に置き、目標既読率を25%に設定しています」
また、これまでは担当者の感覚でしか説明できなかった成果がデータ化されることで、根拠を持って社内に説明できるようになり、理解を得られやすくなったことで社内での存在感も増したといいます。
▼参照記事
もう勘に頼らない。”効果の数値化”が広報部の価値を押し上げる。
クロスプラス株式会社
BtoC事業の強化をきっかけに、広報活動の見直しを行ったという同社。新たなメディア開拓を目指し、「どのようなメディアがどんな記事を書いているのか」をリサーチ。単なる転載記事だけでなく、記者からの問い合わせが増えたことを実感するとともに、自社ECサイトのセッション数との連動も確認できるようになったといいます。
「他にもSNSでの反応を測る「バズ数(※)」も社内報告に入れています。社内的にも新しい指標ですが、どれくらいの数が効果的と言えるのか、という評価の仕方も「PRオートメーション」のカスタマーサクセスと相談しながら決めています」 ※ニュース記事のいいねやシェア、リツイートの総数
▼参照記事
売上直結を目指す「経営に資する広報」実践の秘訣とは
株式会社東和エンジニアリング
広報部門でありながら、Webマーケティング強化というミッションを持っていた同社。「リリース配信後の対象製品やサイトアクセス数、Web経由の問い合わせ件数を追っていましたが、リリース自体の成果かどうかが測りきれないこともあり、成果を実感しにくいという課題感がありました」
リリース単体の成果が明確に見える化されたことで、既読率を伸ばすという新たな指標を持つことができ、さらに会社への報告書作成にかかる時間も大きく削減することができたといいます。
▼参照記事
“リリース戦術”強化で売上貢献を。新たな成果指標で広がる広報の可能性
企業の課題を解決することが広報の信頼につながる
職人的なノウハウ依存、属人化気質といわれてきた広報コミュニケーションは、DXの波を受けて大きな転換期を迎えています。納得感のある指標を持ちデータドリブンな効果測定を行うことは、作業の効率化はもちろん、広報担当者が自社をより深く理解し、コミュニケーションの「核」として進化する大きな手助けになるでしょう。これを機に、ぜひ自社における広報の効果測定を再設計し、活動の改善につなげてみてください。
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