プレスリリース作成にメディア対応、掲載情報の管理から効果測定などなど、広報業務は多岐に渡り、時間に追われながらマルチタスクをこなす必要があります。限られた時間と人員で効果的な活動を行うには、業務効率化が欠かせません。この記事では、当社で開催しているPRプランナーによる広報セミナーをもとに、効率化のための具体的なテクニックをご紹介します。
業務フローの点検が効率化への第一歩
広報業務の一連の流れを可視化し、無駄や改善点を洗い出すことが業務効率化への第一歩です。まずは、現状の問題点のあぶり出しから始めます。
広報部の業務は多岐に渡る上、一つの業務に紐づく作業数が多く、さらに作業内容が可視化されていないケースもあります。近年の働き方改革やリモートワーク導入に伴い、広報担当者の業務負担はさらに増しているといっていいでしょう。
改めて書き出してみると、その業務の多さに驚くかもしれません。
業務改善は広報担当者のモチベーション向上という意味でも価値があります。マンネリ化した作業や時間がかかる作業に追われていることで、仕事への意欲が低下するのはどんな仕事にも言えること。やりがいを感じられる仕事に集中できる環境を整えるために、下記のステップで効率化を図りましょう。
業務効率化の手順
- どの業務を効率化したいか検討する
- 検討した業務の作業を棚卸しする
- ”ECRS(イクルス)視点”で各作業を見てみる
- 新たな業務表に沿って実行
一つずつ見ていきましょう。
ステップ① どの業務を効率化したいか検討する
業務効率化において重要になるのは「どの業務を優先的に効率化するか?」です。効率化したい業務の検討から始めてみましょう。
効率化したい業務を検討する際は、マンネリ作業(自分じゃなくてもいい作業)やメンドウ作業(時間/手間がかかる作業)という視点で洗い出しをするのがおすすめです。たとえば、
- リリース作成
- 取材管理
- 効果測定
上記の3つは、効率化・自動化によって業務改善につながるのではないかと考えられます。もちろん効率化すべき業務は会社によって異なりますが、この記事ではこのような業務を効率化するという前提のもと話を進めます。
ステップ② 検討した業務の作業を棚卸する
効率化したい業務が決まったら、省力化できそうなポイントを探ります。具体的には、作業内容を大・中・小分類に分ける作業を行います。プレスリリース配信を例に、実際に書き出しを行ってみました。
リリース配信と一口に言っても、このようにたくさんの作業が紐づけされています。この中からどこを効率化できるのか探る作業です。作業者や承認者など、個々のタスクの担当者を具体的に書き出せるとさらに良いです。就業規則やジョブディスクリプションで作業が可視化されているなら、それをもとに作るのも効率がいいでしょう。
こういった細かい作業は、個人の頭の中で行っている方も多いと思います。当たり前にやっていることでも、実は労力のかかる作業です。自然とミスも多くなります。このような棚卸や可視化をするだけでも改善につながると考えられます。
このステップで肝なのは、小分類をなるべく細分化して書き出すことです。「メディアリストを作成し、チェック」ではなく、「メディアリストを作成」「メディアリストをチェック」といった具合です。こうすることで、次のステップにうつったとき効率アイデアを出しやすくなります。
また、トップダウンで業務改革を行っているケースなら、工数や難易度もつけられると説得材料になります。
ステップ③ ”ECRS(イクルス)視点”で各作業を見てみる
ECRS(イクルス)とは、改善の4原則と呼ばれるフレームワークです。
Eliminate(排除)
Combine(結合と分離)
Rearrange(入替えと代替)
Simplify(簡素化)
の頭文字を取ったもので、これを適用することで改善効果が期待できると言われています。
ステップ②で棚卸した作業を、一つひとつこれら4つのフィルターを通して、 適用できるものはないか見ていく作業がステップ③です。
例:
E)必要のない指標を計測することをやめる
C)確認プロセスのタイミングを一度にまとめて統合
R)リリース配信や校正にツールを使う
S)取材対応時のあらかじめフォーマットを用意しておく
このように、ECRSの視点でタスクを見直すことで、より効率的な業務フローを設計できます。
中でもEliminateとCombineについては、人間が頭で考えて「やらなくていいか」「統合できないか」と考える必要のある作業です。企業によって適応できないところもあるかもしれませんが、効率化できるところがないか検討する価値はあります。
一方、RearrangeとSimplifyについては、属人化を防ぐという意味でもツールに任せたり、毎回ゼロから作業を始めるのではなく汎用的なフォーマットを作っておく等の工夫をすることができます。
ステップ④に進む前に、当社に寄せられる代表的なお悩みを取り上げ、ECRS視点で具体的な効率化テクニックやフォーマット、生産性を上げるツールをご紹介します。
ステップ③-2 業務効率化Tips
【お悩み】他部署から来る情報の形式がいつもバラバラで困る
対策:
どこの部署からでも毎回同じ形式の情報が届くよう「情報収集シート」を作りましょう。サービスの正式名称、ローンチ日、開発のきっかけや背景など知りたいことを質問事項として記載し、展開します。
【お悩み】企画を考えるのが苦手
対策:
アイデアのフレームワークやアプリを利用するのがおすすめです。
・オズボーンのチェックリスト…あるテーマに対して、上図の9つの項目に答えることでアイデアを出してみようというもの。
・マンダラート(曼荼羅シート)…9×9の正方形のマス目に目標やテーマを書き込み、アイデアを整理・発展させていく思考ツール。
・ブレストマシン…任意の単語を入れると様々なワードが出てくるWebサービス。アイデアを膨らませるブレインストーミングに役立つ。
企画をゼロから作るのは誰にとっても大変な作業です。
これらの外部ツールを活用することで、自分の中にはなかった新しい着眼点の企画が生まれやすくなります。また、単純にアイデア力を鍛えるのにも効果的です。
【お悩み】リリースを毎回イチから作るのに時間がかかっている
対策1:ひな形を用意する
プレスリリースの「型」を利用し、情報を転記すればある程度かたちになるひな形を作ってしまいましょう。制作用やイベント用など、用途ごとに作っておくのがおすすめです。
参考記事:プレスリリースの型とは?
また、リリース配信サイトのアクセスランキングなどを参考に、読まれているリリースを見ることで、上手なひな形・上手な情報発信をマネすることもおすすめです。
対策2:AIを活用してみる
生成AIを利用し、叩き台を作らせてから加筆修正を行うのもおすすめ。AIに情報を抜き取られるのでは?と心配な方は、機密情報の漏洩を防いだ当社のサービス概要を参考にしてみてください。
参考記事:プラップノード×ショーケースが開発した生成AIを使ったプレスリリースとは
【お悩み】メディア選定に時間がかかっている
対策:
配信ごとにメディアリストが異なる場合、エクセルやスプレッドシートで配信ごとのデフォルトリストを作っておきましょう。送付前に再度チェックを行う必要がありますが工数の削減につながります。
一方、「メディア連絡先が一切ない」場合は、リリース配信サービスへ登録することで主要メディアへのメール配信が可能になります。
【お悩み】取材対応で抜け漏れが出てしまう
対策:
取材対応においてはメンバー間の共有・協力が不可欠です。一次対応時に確認するべきことがわかるよう、取材カードを作り、全員が対応をとれるようにしましょう。
さらに、①誰が②なんの案件を対応していて③いつまでに④何をするか 以上の4つが整理されたリストを作れるとさらにベターです。
【お悩み】対象メディアが多すぎて、クリッピングに時間がかかる
対策:
クリッピングを行う際、あらかじめ対象媒体を絞る(=重要媒体の設定をする)ことで効率化を図れます。Webだけでも3000以上のメディアがあり、アプローチ先のメディアを絞るのはマストで行いたい作業です。効率化にも直結します。
メディアアプローチについて詳細に解説した記事はこちら
【お悩み】どの指標が効果的かわからない
対策:
測るべき指標についてお困りの際は「誰に・何を報告すべきか?」を考える・もしくはヒアリングを行ってから考えると無駄なくおすすめです。誰も気にしていない指標は思い切って削ってしまうのもありです。
また、指標を作ってもPDCAが回せないのでは意味がありません。下記のサイクルを月一回、もしくは四半期に一回は行い、データを蓄積しながら活動の振り返りを行うと広報活動のレベルが変わってくるのを感じられると思います。
▼こちら記事もおすすめ
広報・PRの効果測定で見るべき指標とは?
評価につながる広報レポートの作り方とは?
ステップ④ 新たな業務フローに沿って実行する
理想の業務フローができたら、あとは実行あるのみ。最初は慣れないかもしれませんが、着実に効率化の成果を実感できるはずです。
また、うまくいかない部分は軌道修正を繰り返し、継続的に業務改善を図ることが重要です。PDCAサイクルを回し、最適化を目指しましょう。
この記事でご紹介した、リリース配信やリスト管理、取材問い合わせ対応、効果測定など、広報のあらゆる業務を自動化して効率化したい時はPRオートメーションによってオールインワンで管理・作業することが可能です。業務効率化でお悩みの方はぜひ一度ご相談ください。
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